(*2020年12月に書いた記事)
STEP 1 『洞窟』
先日、知り合いのライターであるyamaさん(通称)に誘われて、podcastで配信しているラジオを録ることになった。
テーマは【1週間後に控えたM-1グランプリ2020】
yamaさんと知り合ってから、毎年お笑いの大きな賞レース(M-1、R-1、KOC)終わりは必ず電話し感想を言い合っている。(初めてはM-1グランプリ2017)
感想はそこそこにその他のお笑いの話や音楽の話、お互いの近況報告を交え、毎回午後23時から始まり2、3時間、長ければ4、5時間も通話している恒例行事。
その縁もあり前週にラジオでM-1グランプリを語ってみよう、ということになったのだ。
anchorというラジオ配信アプリを準備し、いざ収録。
台本は特になかったが、自分の中ではあらかじめ決勝9組を4つのカテゴリーに分けて予想したり、各コンビの情報も頭に入れて収録に臨んだ。
自分は極度の緊張しいなので趣味で配信するレベルのラジオでもかなり緊張するのだが、収録が始まってからは普段通りただただお笑いについて話すだけで楽しい時間だった。
当初の30分予定を大幅に上回る1時間の収録を終え、LINEの文面で「楽しかったです。ありがとうございました」と送ると、数分後yamaさんから返信が返ってきた。
「今チェックしてるけど、オープニングのほりい君の声がBGMにかき消されてる」
1時間も話したのに、ウソだろ。
確かに自分の電話の声が小さいことは自覚していた。
声が小さい理由として、【実家で声をあまり出したくないから】というのと【スマホが5年前から使っているバキバキに割れたiPhone6sのマイクだから】の2つある。そのこともあり、ラジオ収録ではかなり意識して出来るだけ声を張りスマホに近づいて話したつもりだった。
「すいません、意識したつもりだったんですが」
「微かに聴こえるから大丈夫かな」
「そうですか、申し訳ないです」
微かに聴こえるのであれば問題はないか、と思いすぐにpodcastにアップされた収録回を聞いてみた。
「あれ?洞窟の中で喋ってない?」
信じられないくらい声が小さかった。
yamaさんの声のボリュームを”1”だとすると、自分の声は”0.01”
ほとんどサガミオリジナルのボリュームだった。
すぐにLINEでyamaさんに塩谷瞬の会見ばりの必死さで謝罪文を送り、M-1後に録るラジオまでに洞窟を脱出するためのイヤホン付きのマイクを購入することを約束した。
STEP 2 『道具の調達』
後日、禊を実行するために近所の家電量販店へ向かった。
スマホコーナーへと直行し、お目当てのイヤホンを探す。
一応こだわりとしてイヤホンはオーディオテクニカ製・カナル型・有線というのは決めており、事前にネットで調べておいたのでお目当てのイヤホンにたどり着くことができた。
3200円
メーカーの小売希望価格と同じなのだが、これまでのイヤホンがマイク無し1500円ぐらいだったので少し高く感じてしまう。
Amazonで調べる。
1800円
どこでその1400円も値段に差がつくのだろうか?
家電量販店のクーポンを使っても到底Amazonの値段には敵わなかったので、店内にいるにも関わらずAmazonで購入した。この背徳感はこれから先の人生で何度も体感するだろう。
これでようやく洞窟を抜けるための道具が揃った。
STEP 3 『脱出計画』
だからと言って、イヤホンマイクを買って終わりではない。
イヤホンを付けながら通話しなければならないのだ。
これまではイヤホンを付けると耳の中に声がこもって嫌だという理由でイヤホンを付けながらの通話をしてこなかったが、イヤホンマイクを使うとなるとどうしてもイヤホンをつけなければならない。
当日イヤホンを付けるのが初めましてだったせいでまた洞窟に閉じ込もるわけにはいかないのだ。
練習あるのみ!!
イヤホンマイクが家に届いた日に、高校時代の友達に連絡を取り『久しぶりに話したい』風を装いイヤテレ(イヤホンを付けながらのテレフォン)の練習をすることにした。
まずは両耳に付けて話してみる。
自分の声が聞き取れず気持ち悪い。
試行錯誤しているとさすがに友達にもバレてしまい、観念して練習台として電話をかけたことを白状した。
すると「私は片耳だけイヤホンして電話してる」と有益な情報を教えてくれた。
実際にやってみる。
自分の声も聞こえるし相手の声もはっきり聞こえる。
洞窟脱出の攻略法まで手に入れた。
STEP 4 『脱出成功』
そして迎えたM-1後。
イヤホンを片耳だけ付けラジオに臨む。
一応、オープニング前にyamaさんに音源を試聴してもらうと
「大丈夫、今回は普通に録れてる」
無事、洞窟からの脱出を果たした。
実家の自室での出来事だったが、喜びの規模で言えば【めちゃイケで岡村さんが復帰した時のパロディぐらいの壮大さ】だと思ってもらっていい。