書書鹿鹿 ~かくかくしかじか~

"かくかくしかじか"と読みます。見たもの、聞いたもの、感じたことを書いてます。

ガストの低アレルゲンメニュー『2種豆の欧風黒カレー』が想像以上に美味しかった

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「どうしてもガストに行きたいから、年末無理やり予定あけてくれ」

クリスマスを目前に、通常ではありえないお願いを地元の友人にしていた。「ガスト×年末」の組み合わせですらミスマッチな気がするのに、そこに「どうしても」を加える奇妙な三角関係。

そもそもガストに“どうしても”行きたい人などこの世に一人もいない。存在しない人botに送れば間違いなく採用クラスである。自分ももちろんこれまでの人生で一度も「ガストに行きたい!」なんて切望したことはない。ご飯も美味しいしチェーン店でそれなりにリーズナブルなので行く人は多いが、何もご飯を求めてといった感じではないのだ。

「時間を潰すために仕方なく

「金欠だから仕方なく

「近所にここしかないから仕方なく

「店選びを間違いたくないから仕方なく

ガストにたどり着く全ての理由に「仕方なく」という枕詞がくっついている気がする。ガストを最終目的地に設定することはおそらく前例がないし、全員が全員別の目的のついでに寄ったことしかない。妥協案という種目の飲食店の部で日本代表だと思う。

なんかものすごく言いすぎている気がするが、「ガストにどうしても行きたい」という日本語は文法的なおかしさを疑うぐらいありえない文章だ。

事実、そのLINEを送った直後、友人からはこう返ってきた。

「普通のガスト?」

めちゃくちゃ疑われている。店員に合言葉を言えば裏メニューが頼める、マフィア映画みたいな特殊なガストだったら理解できたようだ。

「普通のガスト。予定大丈夫そう?」

「了解」

これ以上詮索すれば自分の身に被害が起こると察したのか、それ以上の追求をやめた。

 

 

 

 

先に言っておくが、もちろん特殊なガストに行ったわけではないし、怪しい取引をしたわけでもない。

なぜ、ガストに行きたかったのか?

それは単純

『2種豆の欧風黒カレー』が食べたかったから

それだけである。

 

ここまで読んだ人は納得がいかないと思う。

「果たしてそれだけの理由で友人を誘いガストに行きたくなるのか?」

IQサプリだったら伊東四朗の頭上にとんでもない量のモヤっとボールが溜まっていることだろう。

これには訳がある。

 

 

 

 

自分は生まれつき食物アレルギーを患っている。対象は小麦・卵・乳成分の3種類。小麦は軽度なのであまり気にしないが、卵と乳を封じられる人にとって外食はとても過酷なのだ。(自分の食物アレルギーの程度はブログの最後参照)

そもそも圧倒的に食べられるものが少ない。素材そのものを提供するお寿司、焼き肉、しゃぶしゃぶや定食は比較的食べられるが、少しでも手間が加えられているとダメになることがほとんどだ。大手チェーン店はアレルギーの成分表をホームページに載せているのでメニューの中から食べれるものを探せるが、それ以外のチェーン店や個人経営のお店では成分表がないのでなかなかいけないのだ。

その中でも特に、カレーは食べれるものがほとんどない。成分表があっても使用しているケースがほとんどで、そもそも何が入っているか見た目では分かりづらい。なので、生まれてから約20年間、外食でカレーを食べたことがなかったのだ。

 

そんな折、たまたま見つけたのがガストで販売されている『2種豆の欧風黒カレー』だった。この商品は低アレルゲンを売りにしていて、メニュー表にも「おいしい低アレルゲンメニュー」と記載されている。主要7品目を一切使わないカレーとあって、安心して食べられる。

 

すかいらーくさん、本当にありがとう

さっきは“妥協案日本代表”とか言ってごめんね

 

見つけた瞬間「これだ!!」と思った。どうしても外でカレーが食べてみたい。しかし、一人でガストに行くのはやっぱりなんか恥ずかしい。ということで、最近久しぶりに連絡を取るようになった地元の友人に白羽の矢が立ったのだ。可哀想に。

 

 

 

 

当日、16時に最寄りの駅に集合した。少し雨が降る中、友人のアパートの駐輪場に自転車を止めさせてもらい、ガストのある方向へと歩いて向かう。その最中、友人からガストに行く理由を聞かれたので、前述した「低アレルゲンのカレーを食べたかった」と話したら納得してくれた。

「急に『ガスト行こう』って誘われたときはびっくりした」

まだ特殊なガストの線も薄っすら残っていたのかもしれない。いきなり地元の友だちから「ガストに行こう」と誘われたことに対して、その理由を考える家族会議まで開かれたらしい。お騒がせして申し訳ない。

 

ガストの道中に家電量販店があったので、そこに寄った。実はガストに行くだけだと時間がもたなそうだったので、前々から買いたかったBluetoothのワイヤレスイヤホンとスマホスタンドを買おうと決めていたのだ。お互い実家暮らしなので家電量販店には馴染みが無いので、「家から近いけど、来るの久しぶり?」と聞いたら、「いや、昨日来た」と言われた。なんでも録画機器が無かったから、たまたま昨日レコーダーをここで買ったらしい。まさかの2日連続同じ家電量販店。「ほら」と言われた場所を見ると、レコーダーの山が2列並んでいるのだが、片側の山だけ1段低かった。

「昨日、俺が買ったから」

2日連続で家電量販店に連れてきてしまった罪悪感から、一刻も早く退店するためイヤホンとスマホスタンドは即決即断で購入した。

 

店を出ると、目と鼻の先にガストがあった。しかし、時計を見ると17時にもなってなかった。自分の想定では、ここの家電量販店でいろいろ吟味しながら時間を潰し、ほどよきタイミングで店に向かう計画だった。しかし、想定外の「家電2夜連続(cv.渡哲也)」によって素早く退店してしまったため、2人ともあまり腹が減っていない時間に投げ出されてしまったのだ。

どうしようもないので、お腹が空くまで近所を散歩することに。服屋に入ったりスーパーに入ったりしてなんとか時間を潰し、18時にようやくガストに入店した。

 

 

 

 

「いらっしゃいませ。お好きな席どうぞ」

ジャンパーを着た店員が気だるそうに接客してきた。

「あれ?」

その店員を見て驚いた。その接客してくれた店員がたまたま自分と友人と同じ小・中学校に通っていた同級生だったのだ。

「久しぶり!」

「あれ!?久しぶり!」

そもそもここのガストは通っていた小・中学校の校区からは少し離れた場所で、同級生は全く行く機会が無い。友人が中学卒業後に引っ越した場所がたまたまガストに近かったから、今回利用したのだ。だから、まさか同級生が働いているなんて思ってもいなかった。しかも、その同級生は普段はデリバリー専門なのだが、月曜日でオーダーがほとんどないため、暇だから店内の仕事を手伝っていただけだった。変なところで運を大量消費してしまった。

同級生補正があったからいいけど、普通の店員だったらあんまり接客態度よくなかったぞ。

 

まさかの再会があり、一旦席に着く。月曜日の夕方ということもあって、店内は2、3組しかいなかった。ぐるーぽんのおせちくらいスカスカだった。(分かる人にだけウケてほしい)

小・中の同級生が店員としてお冷を運んでくるのは、とても不思議な感覚だった。

そんなこんなで、早速お目当ての『2種豆の欧風黒カレー』を注文する。そこのガストで働く同級生曰く、このメニューを注文する客は見たことないと言っていた。おそらく「人気が無い」というよりかは「ガストにカレーを食べに来ない」が正しいだろう。近所にインド・ネパール料理屋もあったし。

友人は『やわらかうな丼』を注文していた。正直、注文しているのを見て自分もそっちの方が食べたくなっていた(余裕で食べれるので)が、さすがに「カレーを食べたい」と言って誘った張本人が『やわらかうな丼』を頼むのは政治家の失言くらい撤回していることになるので今回はやめる。

 

しばらく自分、友人、店員の同級生(暇だったので問題ないらしい)で話していたら、キッチンの方から注文を乗せたロボットがゆっくりテーブル席に近づいてきた。2021年からすかいらーくグループの店舗では、配膳用のネコ型ロボットを導入しているらしかった。

正直、初めて見た時、自分の心の中の性格の悪いウエストランド井口さんが

「何がネコロボだよ。むき出しの配膳ロボットのくせに、動物のフリして媚びんな!それに、これだけ暇だったら店員が運んだ方が早いだろ!」

と長々とツッコんでいた。その店員を足止めさせてだらだら喋っていたのは自分なので、そんなこと言う権利は微塵もない。お届けありがとうございます。

 

それで届いたのがこれ。

 

 

 

ガスト 低アレルゲンメニュー『2種豆の欧風黒カレー』

美味そ~

メニュー表の写真通りのビジュアル。

念願の外食カレー。

一口食べる。

 

美味い!

 

はっきり言って、そこまで期待していなかった。市販で売られている低アレルゲンカレーやファミレスの低アレルゲンカレーは基本的に子ども向けとして販売されていることが多い。

味も甘口がほとんどで、正直言って物足りないことばかりだった。

しかし、ガストの『2種豆の欧風黒カレー』は中辛レベルで、野菜をしっかり煮込んだ黒カレーだからこその甘みと辛みが両立している。グリーンピースとひよこ豆の食感もよく、上手くカレーにマッチしている。

難点を挙げるとするなら、肉や魚介類といったメイン食材が無い、純粋に量が少ないとあって全体のボリューム感はあまり感じられなかった。

ただ、それを差し引いても外食カレーのデビュー戦としてはなかなかにいい結果だったと思う。

 

あっという間に完食。

食物アレルギー持ちの自分としては、飲食店でカレーを食べることがとても嬉しかったし、丁寧に“低アレルゲン”と表記されているから、安心して食べることができた。せっかく低アレルゲンメニューを食べたのにもかかわらず、お腹が空いていたので調子に乗って唐揚げを食べたらちょっと蕁麻疹が出た。

おじゃん。(←活字で見るとキモい日本語)

何はともあれ、無事に外でカレーを食べることが出来た。

 

 

 

 

結局、うな丼とフライドポテトという和洋対立の食べ合わせをしていた友人にも着いてきてもらった感謝を伝えたいということで、店を出た後に寄ったコンビニで何か奢ろうとしたら、「烏龍茶が欲しい」と言われた。

生粋のお茶好きらしく、もし恋人がいて「誕生日プレゼント何がいい?」と訊かれたら「お茶」と答えると言っていた。「お茶のプレゼントはただのマネージャーの差し入れやん」と言ったら偉く気に入ってくれた。自分自身が極度のケチなので、100円の烏龍茶で喜ぶ友人を見て、喜びのハードルが低いコスパのいい人間はもっと増えて欲しいと思った。いい友人です。

 

チェーン店で言えば、以前まで松屋が提供しているカレーは小麦だけの使用だったので食べることが出来たのだが、現在は乳もしようとなっているため食べることは出来なくなっている。(2022年12月30日現在)

その代わり、松屋を経営している松屋フーズが展開している『マイカリー食堂』ではカレーが食べれるようになっている。

『マイカリー食堂』はなかなか近場にないので、どこかのタイミングでまた食べに行こうと思う。

 

ほりいのカレー探訪

... to be continued

 

食物アレルギーの程度

(あくまでも目安としてお考えください。実際にお店に行く場合はアレルギー表を確認したり、店員に確認を取ってから注文してください。)

 

小麦 … 軽度。うどんやビスケット等の小麦製品もほぼほぼ問題ない。ただ多量に摂取した場合や食事の前後で運動をしていた場合、蕁麻疹が現れる。

 

卵 … 卵料理を一欠けら摂取すると長時間腹痛や気持ち悪さに襲われる。ただ、から揚げやとんかつといった揚げ物に“つなぎ”として使われる程度であれば多少の蕁麻疹程度で済む。

 

乳成分 … 少量でも蕁麻疹が現れ、酷ければ顔全体が腫れたり息苦しくなる。製品表示の「一部に乳成分を含む」なら大抵問題なく食べれる。