書書鹿鹿 ~かくかくしかじか~

"かくかくしかじか"と読みます。見たもの、聞いたもの、感じたことを書いてます。

朝に楽しみを見出す

昔から、朝に対する楽しみが全くなかった。

クリスマスやお正月はサンタがプレゼントを届けてくれたり、お年玉をもらえたりするので早起きをしていたが、それ以外の朝は全部憂鬱だった。学校に行かなければならないし、時間が無いから手軽に朝食を済ませないといけないし、寝癖直したり着替えたり。そもそも布団から出ることが億劫だった。一度布団に入れば『生涯現役』といった気持ちで布団に潜っている。人生訓だけは『HUNTER×HUNTER』のゼノ=ゾルディックと同じである。

20代前半になった今、ここ1年なぜか朝早く目覚めてしまう。自分としてはもっと寝たいのに、勝手に7時くらいに目が覚めてしまう初老モーニングを過ごしている。それがきっかけで早朝バイトを始めるようになったのだが、狙いはもう1つあった。朝を潰したかったのだ。

朝の使い方がずっと分からない。昼からはなんとなく身体も脳も起きてきて「あれやろう」「これやろう」となるのだが、朝だけは特に何をしていいのか分からない。それもそうだ。今まで20年間学校に通ってきたのだから、自然と朝は潰れていた。休みの日もお昼まで寝ていたので、朝の使い方を学習することがなかったのだ。しかし今では、大学も卒業し、7時ごろに目が覚める生活。トライアル期間なしでいきなり本番を迎えてしまったようなものだ。

なるべく、布団からは出ない。スマホさえ手元にあれば何時間でも時間は潰せる。布団から出る時は、トイレが我慢できなくなった時か、スマホの充電が切れた時。それぐらいしか起きる理由がないのだ。やることがあったり、楽しみがあれば布団から出るがそれが見つからないままこの年齢になってしまった。

しかし、ここに来て朝が楽しくなる魔法のアイテムと出会った。焼き菓子である。

 

 

 

先日、アレルギーでも食べられるものが多くある焼き菓子と喫茶室の『マメトコナ』というお店に行った。富田林にあるので家からは遠かったが、サンダル後輩を誘って美味しいケーキを堪能することが出来た。

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その時に、店内飲食とは別にお持ち帰りで3点購入していた。

「りんごタルト」

「きな粉と甘納豆のタルト」

「柚子みそマフィン」

タルトやマフィンと言ったカタカタお菓子とは縁遠かった自分としては、買って帰ったこの3点が特別な存在だった。

 

一気に食べず大事に食べたい。

3時のおやつでもいいが、1日1個を早く食べたい。

朝食にこれらを食べるなんてどれだけ優雅な朝なのだろう。

コーヒーとセットで食べれば立派なモーニングだ。

 

朝に対しての妄想が膨らんでいく。生まれて約20年で初めて、朝に対して「楽しみ」という感情が湧いていた。

 

 

 

初日は「りんごタルト」

「りんごタルト」

しつこくない優しい甘さと、上に乗ったリンゴの酸味が絶妙なバランスだった。

 

2日目は「きな粉と甘納豆のタルト」

「きな粉と甘納豆のタルト」

きな粉のほんのりとした甘さとナッツの組み合わせが抜群で、ところどころに顔を出す甘納豆の強い甘さがインパクトを与えていた。

 

3日目は「柚子みそマフィン」

「柚子みそマフィン」

柚子も味噌も主張しすぎず、かといって遠慮しすぎないちょうどいい距離感で接してくれて、香りが引き立っていた。

どれも三者三様の味わいで、店内飲食で食べた「米粉と豆腐のラムチョコレートケーキ」同様、食べた瞬間からニヤケが止まらず、最後までゆっくり味わって完食した。

 

 

 

朝に楽しみがあると、起きることが苦にならない。同じく起きなければならないやることがある場合はその分憂鬱になるが、楽しみがあればスッと起きられる。その後の朝のスケジュールも心なしか立てやすくなるし、何より1日のテンションが違う。昔から学校の先生が「朝ごはんはしっかり食べましょう」と言っていたのは、栄養面のこともあるだろうが、モチベーションについてのことだったのかもしれない。じゃあもっと強く言っといてくれよ。

『マメトコナ』で買った焼き菓子は全て食べてしまったので、明日からは別の楽しみを探すしかない。楽しみを探すことが、人生を豊かにする近道だと今更ながら気づいた。