書書鹿鹿 ~かくかくしかじか~

"かくかくしかじか"と読みます。見たもの、聞いたもの、感じたことを書いてます。

自意識過剰人間、原因は自分にある。のフリーライブに行く

自分は重度の自意識過剰である。人からどう見られるかを意識し、何か行動を起こすたびに「これで合ってるかな?」「変なことしてないかな?」と気にしてしまう。自意識過剰はとにかく生きづらい。

自分の自意識過剰がここぞとばかりに発揮されるのが『初めての場所に行くタイミング』だ。バイトの初日なんかが特にそう。初日だから何も分からないのが当たり前なのだが、勝手が分からない場所で、知らない人たちに囲まれていると勝手に『アウェイ感』を感じてしまう。

 

「ここにいて大丈夫かな?」

「何にも言ってくれないからしょうがない」

「これをやっていいかな?」

「ちゃんと言わない方が悪い。やる」

 

疑問と言い訳の自問自答を繰り返し、心の声が早口言葉みたく聞こえてくる。どの場面でも経験者や集団がいる場合に、勝手に疎外感を感じて縮こまってしまう。

そんな自意識過剰人間が人生で初めて『男性アイドルグループのライブ』に行くことになった。

 

 

 

原因は自分にある。を知ったのは2年前くらいだったと思う。何がきっかけで聴くことになったのかは忘れたが、YouTubeでたまたま聴いた『シェイクスピアに学ぶ恋愛定理』が入り口だった。それまで女性のアイドルグループにハマったことはあったが、男性のアイドルグループには全く興味がなかった。しかし、特徴的なグループ名とピアノロックを基調とした音楽性に興味を魅かれ、初めて男性ボーカルグループに興味を持つことになった。


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前に開設していたブログでげんじぶにハマった経緯を書いたら、ファンの方から反響をいただいたり、はてなブログの公式アカウントにも取り上げられたりと好評だった。それ以来、新曲が出る度に聴いてはいたのだが、ライブに足を運ぶほどの勇気は持ち合わせていなかった。やはり女性ファンが多いので、男性の自分はどうやっても浮いてしまう。自意識過剰人間にはハードルが高かった。

 

ただ、何となくTwitterを流し見していた時、バイトが休みの日にげんじぶがフリーライブを行うことを知った。フリーライブなら比較的一見さんでも入りやすい。せっかくなので行ってみることにした。

 

 

 

もりのみやキューズモールには開演時刻の40分前ぐらいに着いたのだが、イベントスペースを埋め尽くすファンの数に圧倒された。ステージから遠く離れたスーパーマーケットの「ライフ」まで列が伸びていて、列の間に陣取っていたキッチンカーがとても気まずそうだった。甘く見ていたわけではないが、これまでも何度かもりのみやキューズモールでのフリーライブは参加していて、何となくの人数は予想していた。それの3倍の人数がそこにはいた。ちらほら男性はいるものの誰かの連れであったりして、大半が女性ファンの方々。

 

「俺、いていいのかな?」

 

この時点で、自分の自意識は爆発していた。ただでさえ女性アイドルのライブに行った時ですらアウェイ感を感じているのに、女性ファンばかりの会場となると心の声が倍速再生されてラップ音ぐらいの速さになっていた。

優先券は持っていなかったので、とりあえず2階に移動した。2階も今まで行ったことのあるフリーライブではステージが見える180度ぐらいが埋まっている感じだったが、既にステージが見えない真後ろ以外は立ち見で溢れかえっていた。

原因は自分にある。の注目度と人気がうかがえる。

 

勝手な『アウェイ感』を感じて雰囲気に気圧されてしまった自分は、結局2階のステージ真横で観ることにした。同じく観に来ていたであろう男性ファンも同じ位置に陣取っていた。

 

 

 

リハーサルが始まりメンバーがステージに上がると、会場にいた全員が黄色い声で興奮している様子が伝わってきた。ステージ真横だったので顔はほとんど見えなかったが、リハーサル中、一度だけ吉澤要人がこちらに顔を出し手を振ってくれた。隣にいた女性2人組がすかさず「キャー!」と声をあげていた。

 

声は出さなかったが、自分も一緒の気持ちだった。

 

今までYouTubeのMVやライブ映像と画面越しでしか見たことがなかったが、やっぱり生で観ると破壊力が違う。言い訳が垂れ流しだった心の中に、ときめいた音が響き渡った。

女性アイドルを応援している時は分かりやすく「カワイイ」で満たしてくれるが、男性アイドルに対してはどう思えばいいかがいまいち分からなかった。ただ、今回げんじぶのフリーライブを観に行ったことで、同性のアイドルからしか得られない何かがあることが分かった。尊敬するのもおこがましいぐらいの綺麗な顔立ちを見て、女性アイドルの時とは別の角度から満たされる。発見だった。

 

 

 

ライブが始まる。相変わらずステージの真横なので顔が見えない。それでもキレのある動きと流動性のあるフォーメーション、華やかな衣装はしっかりと見えたので雰囲気は伝わってきた。たまに振り付けでしゃがんだりした時に顔が見えるだけ。自分がそこのポジションを選んだせいで、究極の焦らしプレイをセルフで行っていた。

 

上から見ているとファンの方々の民度の高さがよく分かった。押し合うこともなく、ペンライトの本数もきちんと守っているし、手も必要以上に高く上げない。メンバーの発言に対してのリアクションもよくて、商業施設のフリーライブにもかかわらず終始ものすごく温かかった。2曲目の『ギミギミラブ』でジャンプする振り付けがあったのだが、タイミングから何から完璧だった。ペンライトの統一性のある動きも相まって、日体大かと思った。

2階へのファンサービスもあって全員の顔が拝めたが、あまりにも綺麗すぎる。6者6様、それぞれに個性があって推しを決めるのが大変だろうなと思う。

 

ライブは3曲で終了。あっという間だったが、画面の前だけでは分からない魅力がガンガンに伝わってきたので、来てよかったと思う。気づけば自意識も完全になくなっていたわけではないが、過剰にはなっていなかった。始まる前まではうじうじ考えてしまうのだが、始まってしまえば楽しさでそんなことは忘れてしまうのだ。パフォーマンスを見ている最中は、会場全体がホームの雰囲気になっていて、アウェイだとかは気にしなくなっていた。

ライブ後の特典会のグループショットの様子も少し見ていた。場所を変え、よく顔が見える位置に陣取りなおす。たまたま場所の関係でトップバッターになった小さい男の子の登壇で、会場がほっこりしたムードになる。長蛇の列で写真会も撮ってすぐにはけなければいけなかったが、短い時間の中でも気さくに話しかけたり感謝を忘れないメンバーの対応は印象に残っている。人間性もいいなんて完璧すぎやしないか。

『シェイクスピアに学ぶ恋愛定理』の時から気になっていた長野凌大が1回1回きちんと手を合わせて感謝を伝えたり、ファンの方が後段するまで手を振ってお見送りしていたのを見て、より好感を覚えた。

しばらく特典会の様子を眺めた後、会場を後にした。帰り道は最新アルバムの『無限の終わり』をずっと聴いていた。

 

 

 

勘違いしないでほしいのだが、「男性が行きにくい」と言っているわけではない。自分が自意識過剰人間であるが故に勝手に『アウェイ感』を感じてしまっているだけで、げんじぶは会場の雰囲気も温かかったし楽曲の音楽性やパフォーマンスきっかけで入りやすい。一人で来ている男性ファンもちらほらいたので、特別浮くことはない。自分の心の持ちようがおかしいだけである。今度は雰囲気に飲み込まれることなく顔が見える位置でパフォーマンスが観たいのでまたライブに行きたいと思った。

自意識過剰人間は変われるのか?

変われるのか?