書書鹿鹿 ~かくかくしかじか~

"かくかくしかじか"と読みます。見たもの、聞いたもの、感じたことを書いてます。

22歳フリーター男性、ぬいぐるみを買う

大学の授業が終わり、3月の卒業式を終えれば晴れてフリーターとなる。そうなると基本的にはバイト先と家との往復のみが行動範囲となり、仕事柄朝が早いため、なかなか遠出してエンタメに触れる機会がなくなってしまう。サークルも追い出されてしまったので人間関係も狭くなっていく。

「癒し、なくない?」

焦っていた。エンタメも触れられない、人間関係も少ない、働いて文章書いて畑仕事して。このままいくとおそらく精神がやられる。

22歳男性、真冬の大冒険

 

かわいいぬいぐるみを買うことにした。

 

 

 

2月の頭、大阪は梅田へとぬいぐるみを買いに行った。梅田周辺であれば、キャラクターグッズを販売しているショップが多くあると踏み、大阪一の繫華街へと繰り出したのだ。

この買い物には2歳下のサークルの後輩を連れて行った(男)。元々、遊びに行く予定は立てていたので、せっかくならこのタイミングでお買い物にも付き合ってもらおうと考えたのだ。

 

14時に合流し、さっそく後輩に本日の行動予定を伝える。

「ぬいぐるみを探しに行きます」

先輩が男2人でぬいぐるみを買いに行くことに一瞬ひるんだ様子だったが、「分かりました」とすんなり受け入れてくれた。

まずは大丸梅田に向かう。

大丸梅田の13階にはアニメや漫画、ゲーム等のキャラクターショップがたくさんテナントに入っており、ここであれば自分の好みのぬいぐるみが見つかると考えたのだ。

 

 

 

初めに入ったのが定番のポケモンセンター。

そもそもぬいぐるみを欲しくなったのは、同期が買っていたパルデア地方御三家(ニャオハ、ホゲータ、クワッス)のぬいぐるみが可愛かったからが大いに理由としてある。

ポケモンセンターには初めて行ったが、ゲームやポケカ、お土産になりそうなグッズもありつつ、売り場の大半がぬいぐるみに陣取られていた。ポケモンセンターには多くのポケモンがいて、バトルでは人気がないがビジュアルで人気のあるポケモンたちが幅を利かせていた。

 

多くのカップルがぬいぐるみを見て「カワイイ!」と黄色い声をあげている中、むさくるしい男2人で売り場をウロチョロしていく。

 

自分が欲しかったのは、観賞用として置物にするタイプではなく、抱き枕にもなりうるような触り心地のいい実用性の高いぬいぐるみだった。目から癒しを受け取るのでは間に合わないと考えたのだ。直で癒しを供給してもらうためのぬいぐるみ探し。

 

その条件を満たすには、それなりに大きいぬいぐるみを買わなければいけないのだが、天下のポケモン様のブランドともなると、ハグできるサイズのぬいぐるみは余裕で1万弱だった。これから癒していただくのに1万は安いものだと考えたが、本当に気に入ったデザインかつケチな自分にとってコスパがよくないと満足できない。少し想定よりも小さめだがモフモフとしたデデンネにときめきかけたが、1店舗目なのでとりあえずキープにしておいた。

 

 

 

2店舗目はニンテンドーオオサカ。マリオがほとんどの幅を陣取っているかと思いきや、スプラトゥーンの勢力が陣地をかなり奪っていた。ゲッソーに似たイカたちのクッションが壁一面に置いてあるコーナーも存在していて、人気の高さがうかがえる。ニンテンドーショップはぬいぐるみというよりクッションが多くあってスプラトゥーンやヨッシーの卵が大量に置かれていた。

お互いあまりゲームをしない男2人にはあまりピンと来ないショップだったが、後輩はスプラトゥーンのイカのデザイン性に少し心を魅かれていたらしい。聞けば、その後輩も集めるほどではないが、家にいくつかぬいぐるみを所持しているらしい。

ちょっと悩んでいたが、結局後輩もキープすることにしていた。

 

3店舗目はドラえもん未来ストア。ぬいぐるみもいくつかあったが、実用性重視となると手足のフォルムに少し不満があったので、あっさりと流した。秘密道具が描かれたイニシャル入りのマグカップはプレゼント用として使い勝手がよさそうだったので、誰かにプレゼントをあげる時がくれば使おうと思う。

違う、卒業してからは人間関係がほとんどなくなるんだった。

はぁ...

 

このしんどい気持ちを癒すぬいぐるみをさらに探すため、大丸梅田を後にしルクア大阪に入っていたディズニーストアに向かった。夢の国というだけあってキラキラした店内に期待するが、さすがに男2人かつ自意識過剰人間こと自分にとっては入るのにはなかなかハードルが高かった。

何となく知っていたダッフィーちゃん以外にユニベアというクマのキャラクターがいた。後日ディズニー好きの別の後輩に聞いたら、ミッキーたちが作ったクマのぬいぐるみらしい。いろんな設定があるんだなと感心したが、長時間はいられなかったので即時退散した。

 

途中、後輩が気になったので映画グッズを扱う小さいショップも寄った。そこにもぬいぐるみはいたが、E.Tのみだった。さすがになぁ...

 

なかなか決まらないまま、さらに移動し今度は阪急三番街に望みをかけた。

まず向かったのはリラックマストア。リラックマを中心にすみっコぐらしなどのサンエックスキャラクターのグッズが置いてあった。一番惹かれたのはキイロイトリのぬいぐるみ。メインどころではないものの、フォルムや表情の愛らしさが気になった。買う寸前まで行ったが、抱きつくには少しウエストが太かった。「もう少しダイエットしてくれれば」とも思ったが、「それはそれで愛らしさがなくなってしまうのでそのままでいてほしい」とも思った。ありのままを愛してくれる人と一緒になってください。重たい男女の別れ話チックな感情を抱いて店を去った。

 

 

 

ここまで計6店舗を周り、運命の出会いを果たせていない。しかし、本命が残っていたので何も慌てることがなかった。

そう。最後の砦『キディランド』である。

キディランドはタカラトミーの子会社(さっき知った)で、日本最大級のキャラクターショップと言っても過言ではない。漫画・アニメの有名なキャラクターからSNSで話題のキャラクターまでなんでも揃っている。もはやこれまで行った6店舗のグッズも揃えているので、ここにさえ来れば必ず何かに出会えるのだ。

 

お目当てはサンリオだった。決まった“推し”が存在するわけではないが、ポムポムプリンやハンギョドン、タキシードサムといった可愛さとフォルムが両立している理想形がいる。

「もし気に入ったものがなくても、サンリオが控えているから大丈夫だろう」

強力な保険があった自分は、店内を物色して回っていた。後輩と一緒に見とれていたのは、ぬいぐるみとは全く関係のない岡本太郎コーナーだった。

最近、傾倒しているオードリー・若林正恭が著書のなかで「岡本太郎から強く影響を受けている」ということをよく書いていたので、そこまでの内に秘めたパワーを持つ岡本太郎に自分も興味を持っていた。太陽の塔関連のグッズがほとんどだったが、圧を感じるほどパワーのあるデザインのグッズたちに釘付けになった。ぬいぐるみを買いに来たのに、危うく『太陽の塔フィギュア』を購入しそうになった。当初の目的であった「やわらかい・カワイイ・実用的」の対極を買いそうになったが、後輩と「もう少し岡本太郎を知ってから買おう」ということになり保留となった。

 

その後も店内を回ったが目ぼしいものは見つからず。サンリオ売り場に向かっていたその手前。運命の出会いを果たした。

たべっ子どうぶつもちもちクッション(かば)

「これだぁぁ!!!」

 

 

 

たべっ子どうぶつのカバ。盲点だった。

数あるキャラクターの中で、完全にたべっ子どうぶつを見落としていた。

“遊べる本屋”でお馴染み『ヴィレッジヴァンガード』を舞台にした名古屋のドラマ『ヴィレヴァン』の第2シーズンでたべっ子どうぶつ回がある。マニアックな商品ばかりで売り上げを取ろうとするも失敗、そこで売り出すのがたべっ子どうぶつのグッズ。老若男女問わず、かつ世界中で人気のあるたべっ子どうぶつのキャラクターグッズで売り上げを伸ばす。そういった回を見ていたため、ずっとたべっ子どうぶつのグッズが気になっていた。

 

触ってみる。やわらかい。見た目も可愛くて、触り心地もいい。ライオンとゾウもいたが、抱き心地も余計な装飾がないのでホールドしやすいカバが一番だった。プロレスラーなら思わずジャーマンスープレックスをかけたくなるだろう。お値段もブランドにしてはお安くコスパもいい。

一目ぼれで、そのまま購入を決意した。

 

【22歳フリーター男性、ぬいぐるみを買う】

『フリーター、家を買う』みたいな見出しだが、これについては恥じらいは特になかったのだが、一番恥ずかしかったのはレジに並んでいる時だった。レジに並んでいる人、友人がレジに並んでいるのを待つ人、店員。全員が女性だった。自意識過剰人間にとって女性に囲まれることはかなりのプレッシャーになる。

(↓こういう感じになる)

kakusika.com

男たった一人でピンク色のにこやかカバを抱きかかえて並んでいる、時間は無限にも思えた。ようやく自分の番が回ってきてレジへ向かう。店員さんがプレゼント用だと思い気を利かせて「ラッピングいたしますか?」と聞いてくれた。別に自分用に家に持ち帰るだけなので袋に入れてもらえばいいのだが、プレッシャーに押し流され気が動転していた結果、「お願いします」と言ってしまった。

一番大きいサイズのラッピング袋にカバが放り込まれ綺麗なリボンで結ばれていく。

22歳フリーター男性が、家に帰って開けるだけなのに。

店員さんはラッピングをしたので「プレゼント用に袋をもう1枚お付けしますか?」と聞いてきた。ラッピングの様子を見て落ち着きを取り戻した自分は、丁寧に「大丈夫です」と断った。店員さん、怖かっただろうな。

 

ラッピングカバが入った大きい袋を持ちレジを去ると、後輩が何やら手に持っていた。自分がレジでカバを買っている間にスプラトゥーンのイカのクッションを購入していたらしい。ニンテンドーオオサカで買った方がより公式だと思うが、お互い満足していたのでそれは流した。

 

 

 

あれから2週間ほど経ち、自室のベッドの上には自分よりもくつろいだ表情のカバが横になっている。寝るときは布団の中に一緒に入り、抱きしめながら寝ている。朝起きたらベッドから遠く離れた位置に吹き飛んでいることもあるが、とても安心するので買ってよかった。

「先輩って、そういう感じなんですね」

帰り際、後輩にそう言われた。ちゃんと引いてたのかよ。

 

みなさんもぬいぐるみ買った方がいいですよ。

あの頃の自分はもういません。

一歩先のステージでお待ちしています。