相変わらずPEEKの音楽は聴いていて本当に心地がいい。
エンジニアが同じくポストロックインストバンドtoeの美濃隆章ということもあって音が綺麗だし、個人的にドラムの音が好みとドンピシャ。
4月15日、1年4か月ぶりにリリースされたPEEKの新曲『She was』
2ギター1ベース1ドラムのインストバンドだと個性が出にくいように思うが、PEEKは出す曲出す曲PEEKらしい楽曲に仕上がっている。
PEEKの楽曲はほとんど必ずギターのリフから始まる。
このバンドは2人のギターが肝と言っても過言ではない。楽曲の色であるギターのリフは、リスナーを引き付けるには十分すぎるほどで、イントロからアウトロまでギターの美しさが途切れることは無い。
充分堪能したところでようやくリズム隊が加わる。
PEEKは現在サブスクで配信している17曲中ドラムから始まる曲はアルバム『Afterworld』の『Over The Bridge』しかなく、基本的にはギターから始まる。
絡み合う2本のギターにリズム隊が加わることで、曲に一体感が出るのだ。
またPEEKの楽曲、特にリード曲は1つの曲に2つの曲が入っているような、前半と後半ではっきりと違う展開がなされることが多い。
曲が最高潮の盛り上がりに達した後、メロディも拍子も変わりガラッと曲の雰囲気が変わる。かと言って、別の曲をつなぎ合わせた継ぎ接ぎな印象ではなく、あくまでも地続きな1曲という印象がある。
ギターにベース、ドラムの登場人物たちも1人1人個性があって魅力的で、全員が絡み合うとより大きな展開を生み、前半パートは本編、そして後半パートはその余韻を引きずったエピローグとして、曲が物語性を帯びている。
文字のない音楽を聴いているのに、まるで映画や小説、ドラマのような物語が感じられるのだ。
今回リリースされた『She was』も漏れなく物語性を帯びている。
MVの映像のような情景を感じてもいいし、音楽からドラマチックなストーリーを考えたっていい。インスト曲の物語性の広がり方は無限大だ。
インストバンド / 2本のギターと絡まるリズム
Instagramのプロフィール欄にこう書いてあるように、特徴的な2本のギターのメロディとリズム隊がまさに絡み合っている。
静と動の起伏が多いわけではないけれど、曲中の盛り上がりを作るのがとにかく上手いバンド。
最後には少し晴れやかな気持ちになる、この楽曲の構成が「PEEKらしさ」なんだと思う。