この続き。
「無料のステッカー1枚を貰うためだけに、交通費を払って、せっかくのゴールデンウィークの人がごった返す祝日の心斎橋に朝から並ぶなんて傍から見ればおかしいかもしれない」
締めでこんなことを言ったが、傍から見なくても客観視すれば完全に自分のことをおかしいと思う。大阪のど真ん中にやってきたのに、所要時間3秒のステッカーを受け取るだけを達成するのはもったいなさすぎる。
実はステッカーを貰った後、「せっかく難波に来たのだから何か地元では出来ないことをしよう」と思っていた。ステッカーを貰った11時過ぎはランチタイムだったし、商業施設も充実している。
しかし、祝日の難波は恐ろしい。
どこに行っても混んでるし、外国人観光客もたくさんいるし、古着屋は雰囲気が怖いし。
「若林さんもたまに打っていることだしパチンコでも行くか」とも思ったが、祝日のこんな時間の難波のパチ屋はどこも埋まっている。ペーペーの自分が行ったところで返り討ちに会うだけだ。
結局、本当にステッカーを貰っただけで往復1000円かけて地元に帰った。
普段、インドアな自分が外に出かけるのはかなり思い切りが必要。なので用事には用事を合わせたいのだ。映画を観に行ったならば1日に最大3本観るし、ライブを観に都会に出る時はついでに買い物もする。そういう人間なのだ。
その自分にとって今回、ステッカーを貰うだけの目的では勿体ない気がしてならなかった。なので、より『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』への熱を高めるため、若林正恭の本を買いに行くことにした。
難波から帰ってきて、帰り道にある本屋へ向かった。
普段から本を買うタイプではないが、何か欲しい理由が出来て買いたくなったらそこを利用している。近所にも本屋があったのだが何年か前に潰れてしまい、今ではおばちゃんたちのたまり場(フィットネスジム)になってしまった。
レジ前の目立つ場所には注目の新刊や、ドラマ・アニメの原作の本が並べられていた。その中には現在放送中のドラマ『だが、情熱はある』の題材にもなっている山里亮太著『天才はあきらめた』と若林正恭著『ナナメの夕暮れ』も置かれていた。
自分はどちらも既に持っていたので、スルーする。
ワ行の作家を探すため文庫の棚の下の方をしゃがみこんで覗くと、あったのは『社会人大学人見知り学部 卒業見込』
この本は自分と同じ時期にリトルトゥースになった大学の同期に貸してもらい、半年前ぐらいに一度読んでいた。テレビに出始めて環境が変わっていく中での気持ちのすり合わせや疑問がありありと書かれているのだが、濃度が濃すぎる。何とか「卒業します」と自分を納得させようとしていても、当時の若林正恭の文面からは納得していないのが伝わってくる。鋭角だが読み応えのある文体が本当に面白い。
借りた本は返していたので手元にはなかった。だから、これを機にあらためて買おうと思ったのだ。
以前のブログで書いていた料理研究家・土井善晴著『一汁一菜でよいという提案』と共にレジへ向かい、財布に入っていた図書カードとQUOカードを併用し支払いを済ませる。この手の商品券は貰った時は感謝できるが、使う時には誰に貰ったのか覚えていないので誰に感謝していいのか分からない。
本を買うのは久しぶりだった。本を買うのなら難波の大きな書店で買ってもよかったのだが、地元のこじんまりとした本屋が好きで潰れてほしくないのでわざわざこっちで買ってしまった。これも若林さんが馴染みの本屋が閉店しているのを悲しく思っていたことからの行動である。随分自分も浸食されているなと思う。
何はともあれ、1日で「ステッカー」と「著書」
オードリーに纏わる2つの目的を達成できて大満足の1日となった。
新米リトルトゥースの東京ドームへの道
続く