個人的に語感がいいと思っている楽曲を備忘録的にいくつか挙げておく。
- 五五七二三二〇『ポンパラ ペコルナ パピヨッタ』
- グッドモーニングアメリカ『コピペ』
- bradshaw『suji』
- Hei Tanaka『バン!ドカン!』
- MONO NO AWARE『轟々雷音』
- 左右『ネイキッド』
- POLYSICS 『I My Me Mine』
五五七二三二〇『ポンパラ ペコルナ パピヨッタ』
アイドルグループ「私立恵比寿中学」がココナッツサブレとコラボした謎の8人組バンド・五五七二三二〇の第2弾シングル。
(おそらく「お腹が空いた」的な意味合いの)『ポンパラ ペコルナ パピヨッタ』というフレーズがやけに耳に残るのと、合唱とロックサウンドの意外な組み合わせ、目まぐるしく変わる楽曲展開がじわじわと脳内に刷り込まれていく。
この企画のせいでココナッツサブレを買うようになった。
ギター5名+ドラム3名という異色のバンド編成曲『半世紀優等生』や、4つそれぞれの曲を重ね合わせると1つの曲になる『四味一体』と五五七二三二〇の楽曲は挑戦的かつ中毒性が高い。
グッドモーニングアメリカ『コピペ』
サビのキャッチ―さから語感の良さの定評がある(と勝手に思っている)グッドモーニングアメリカ。彼らの楽曲の中でも群を抜いて語感がいいのが『コピペ』である。
SNS社会に対する風刺の効いたコミカルな楽曲だが、何と言ってもサビの後に繰り返される怒涛の破裂音がこの曲の醍醐味だ。
コピペパピプペポ
コピペパピプペポ
コピペパピプペポ
Bee-po!!,bee-po!!
コピペパピプペポ
コピペパピプペポ
コピペパピプペポ
Peopleパーよ
グッドモーニングアメリカ「コピペ」より引用
人間が初めて発する音は「M」か「P」の音で、大人になってからも発音の気持ちよさが残るのだが、この曲に関してはここぞとばかりに語感の良さが詰まりすぎている。
いきものがかり『じょいふる』にも似たように破裂音の連続があるが、ここまでパ行に特化した曲は『コピペ』だけであろう。
カラオケで歌うと唾が飛び散って口の水分が持っていかれるので要注意。
bradshaw『suji』
歌詞が数字の羅列のみというかなりクセの強い楽曲。初めてライブで聴いた時に「そういうやり方もありなんだ」と衝撃を受けた。
1~10の数字の組み合わせだけで構成される歌詞は、次第に耳に慣れてきてハマってくる。シンプルに楽曲がカッコいいのもポイント。
後にボーカルとシェンフーシュバイツのグループ「OTEMOTO chopsticks」の楽曲もクセになる歌詞とサウンドなので聴いてみてほしい。
Hei Tanaka『バン!ドカン!』
先日、天王寺公園にある“てんしば”で開催された「坂ノ上音楽祭2023」で初めて聴き、頭から離れなくなった曲。
元SAKEROCKでもある田中馨を中心とした6人組バンドで、いい意味でほどよく砕けたグルーヴ感がたまらない。
その楽曲の中でも特に語感がいいのは『バン!ドカン!』。
「バン!ドカン!グサッ!ズダダダン」という特徴的な濁音擬音フレーズの繰り返しがクセになるし、童謡や既存のフレーズをもじった言葉遊び的な脈略のない歌詞も音として聴き心地がいい。韻のふんだ歌詞も不意に口ずさみたくなる。
MONO NO AWARE『轟々雷音』
ボーカル玉置周啓の言葉遊びが楽曲の随所に光るMONO NO AWAREの楽曲の中でも異彩を放つのが『轟々雷音』
全編歌詞が漢字のみで構成されており、歌詞サイトを見ればより頭がこんがらがってしまう。「仲間内で漢字だけで連絡するのが流行っていて、それで曲を作ったら面白いのではないか?」という発想からこの曲を思いついたらしく、メロディに乗せた区切りのいい発音たちが耳に馴染んでくる。意外に歌詞を読み解くとちゃんとした意味を持っているのも面白い。
TaiTan(Dos Monos)と共に配信するポッドキャスト番組『奇奇怪怪明解事典』でも言葉に対するアプローチをしており、玉置周啓は語感だけでなく見方や表現方法で新たな目線を提供してくる。
語感で言えば、早口言葉を盛り込んだ『かむかもしかもにどもかも!』もクセになる。
左右『ネイキッド』
ギターボーカルとベースドラムの男女2人組という異色の編成。
リズム隊を1人で完結させており、ドラムはバスドラムとハイハットのペダルで演奏できるものだけを使用しているが、削ぎ落とされた音数がエッジの効いたボーカルを際立てている。
『ネイキッド』は文字通り「ネイキッド」ばかりを歌う曲で、「NAKED」を分解したり「○○はNAKEDである」と繰り返す。
変拍子であることも相まって、不思議な中毒性がハンパない。
POLYSICS 『I My Me Mine』
一度聴いたら忘れられないPOLYSICSの代表曲。
人称代名詞の語感だけでなく、途中に入るリコーダーのメロディ、ストロングマシン2号のダンスと何から何まで完璧。