書書鹿鹿 ~かくかくしかじか~

"かくかくしかじか"と読みます。見たもの、聞いたもの、感じたことを書いてます。

6月20日の日記(出発まで)

午前中はいつも通りゴミ収集のアルバイト。収集箇所が多いしんどい地区だったが、運よくポイントが少ないコースに割り当てられ、3時間半ほどで収集が終わった。

「6時半に来て3時間半だけってなんかもったいなくない?」

同乗していた社員さんに言われ共感したが、その日に限ってはよかった。給料は少ないものの、早めに帰って準備したかったのだ。そう、この日は名古屋観光を控えていた。

 

 

趣味が少なくお金を極力使わないあ自分にとって年1、2回だけパーッと使う日がある。劇団・シベリア少女鉄道の公演を東京まで観に行く時だ。テレビ東京系で放送されていた『ウレロ』シリーズをきっかけに主宰の土屋亮一を知り、中3の冬に作・演出を手掛けたアイドルグループ・私立恵比寿中学の舞台『シアターシュリンプ』のBlu-rayを購入。高校1年の時に初めて東京にシベリア少女鉄道を観に行った。円盤化や配信は到底出来ないようなメタ的な仕掛けが満載で、完全にシベ少の虜になった。

「絶対に観に行かなければ」

それ以降全公演を観ており、コロナ禍で上演された直近の3公演以外は関西から東京まで夜行バスを使って観に行っている。

そして今回のvol.36『当然の結末』も東京へ観に行くのだ。

 

 

「Youは何しに名古屋へ?」ということであるが、シンプルに観光である。というのも、自分が何度もお世話になった高速バス会社で東京までの金額を計算していると、「大阪から夜行バスで東京」というルートよりも「大阪から昼行バスで一旦名古屋、後に夜行バスで東京」の方が300円だけ安かったのだ。もちろん些細な金額ではあるが、これまで抱えていた「名古屋に行きたい欲」に結びつけるのには十分だった。バイトはどれだけ長引いても13時までに終わるので、余裕を持って15時30分大阪発のバスを予約し、夜行バスまでの約4時間で名古屋を満喫しようと思っていたのだ。

 

 

バイトが早々に終わり、11時に家に着く。あまり食べすぎると待望の名古屋飯を空腹で迎えられないので(あとバスでお腹を壊すのが一番タブーなので)、昼ごはんは軽く済ませ、荷物の最終確認を行う。

財布、携帯、モバイルバッテリー、充電ケーブル、着替え、マスク、軽食、水分補給用の水、アイマスク...

何度も夜行バスを利用したことのある経験則から、必要なものを揃える。かと言って大荷物になると移動が大変なので極力少なめに。

シャワーを浴びてバイトでかいた汗を落とし、少し早めに家を出る。

2日間は帰ってこれないので、家庭菜園にいつもより多めに水をやり、最寄り駅へと向かう。

 

最近発売されたMOROHAの新譜を聴きながら電車に揺られる。大阪市内は友人にパチンコに連れ出されて以来。あの頃とワクワク感は雲泥の差である。

乗り換えを済ませ、環状線に乗って大阪駅へ。平日の昼間だろうがお構いなしに人で溢れかえっている。「何をそんなに集まる必要が」とも思うが自分もそのうちの一人なので何も言えない。傍観者の時は何だって言いたい放題なのに、いざ当事者になると何も言えなくなる。THE SNS。

 

 

バスターミナルには発車の1時間前に到着。一度待合室の場所を確認してから撤退。近所にあったファミリーマートに行き、シベ少のチケットを発券する。買ってすぐ発券して無くしてしまった場合と、公演直前に発券して不具合が起きた場合の2つの最悪な想定をクリアするために、夜行バスに乗り込む前に発券するのが賢明だと考えたのだ。無愛想な店員から渡されたチケットを、即座にリュックに仕込んでおいたクリアファイルに挟み込む。絶対に無くしてはいけないものを持っている時は、歩行者全てが敵に見える。

発券とトイレの手間を考えて余裕を持って着いたのだが、もちろんそんなに時間もかからず、余裕綽々で言えば綽々を消費した程度。完全に時間を余らせてしまったので、バスターミナルの待合室でスマホの充電をしながら、芸歴5年目以下の大会「UNDER5 AWARD」の金魚番長をYouTubeで観る。キャラクターを活かしたコント漫才もしゃべくり漫才も達者で、そりゃ優勝だろうなと思った。

 

 

そうこうしているうちに出発のアナウンスが。昼間から名古屋に向かうなんて自分暗いだろうと高をくくっていたが、乗り場に向かう人が意外に多くて驚いた。THE SNS再び。

前回昼行バスで東京へ向かった際は、高速から富士山が見えたりと夜行バスでは出来ない楽しみ方を見出したので、窓際の1番前の席を指定していた。バスに乗り込むと車内はほぼ満員で、隣ももちろん埋まっていた。高速バスで願うことは「隣がいないこと」ただそれだけ。荷物は置けるし足は延ばせるし、サービスエリアでの休憩も気にせず降りやすいからだ。今回は残念。

出発したタイミングで気づいた。

「名古屋までだから富士山見れないわ」

景色は諦めて、肉体労働で疲れた身体を労わることに専念した。