書書鹿鹿 ~かくかくしかじか~

"かくかくしかじか"と読みます。見たもの、聞いたもの、感じたことを書いてます。

矢場とんで味噌カツを堪能した話

 

東京に行くついでに名古屋観光した時の話。

名古屋を代表するチェーン店『矢場とん』。事前に名古屋の飲食店を片っ端から調べて、名古屋でしか食べられないようなものを探していくつか候補が出たが、結局味噌カツを食べたくなって矢場とんを選んだ。大須商店街を抜けたところにある本店に向かうと、平日の夜にも関わらず10人ほど並んでいた。運よく1~2人用のカウンター席が空いたので、団体客を抜かして案内してもらう。メニュー表を見て一番人気の「わらじとんかつ定食」とサイドメニューで美味しそうだった「もつ串」を注文し席に着く。

案内された席はカウンター席の中でも入り口に近く、豚カツを揚げるフライヤーの目の前だった。注文が入る度にオーダーを通す店員さんの威勢のいい声と、パン粉にまみれた豚肉が油の中へ入ってく「ジューー」という音が店内に響く。しばらくして高温の油からあげられたこんがりとした茶色のとんかつが、目の前のバットに置かれる。温度を保つためにライトで照らされると今度はキラキラと輝くオレンジ色に変身する。食欲をこれ以上そそってどうしようというのだ。

 

 

目で名古屋めしを楽しんでいると、先に「もつ串」が運ばれてきた。

串に刺さった豚のもつ焼きとふっくら炊きあがった大根を味噌だれで味付け。匂いからして美味しいのが確定している。

味噌だれがしみ込んだ大根を噛んだ瞬間にジュワっと広がるうま味、もつに絡む味噌だれ。どちらも絶品でございました。

「もつ串」を楽しんでいるといよいよ本丸の登場。器の半分を占めるキャベツに覆いかぶさるようにとんかつが2枚並んで運ばれてくる。

『わらじとんかつ』はその名の通り「草鞋のように大きい」ことから名付けられており、矢場とんでは2枚並んで運ばれてくる。注文の際に「2枚とも味噌だれ」か「1枚は味噌だれ、もう1枚はソース」の2択を選ぶことが出来る。今回は味の違いを体感して見たかったので半々を選んだ。定食のセットはご飯、みそ汁、小鉢(今回はれんこんだった)、漬物。ご飯とキャベツはおかわり自由と太っ腹。

 

 

早速念願の味噌カツから。

「フフ...」

美味しすぎて一回目の咀嚼からニヤケが止まらなかった。

ジューシーに揚げられた油の甘み、豚ロースの脂の甘み、濃い味の味噌だれの甘み。

甘みキングギドラ。噛めば噛むほど甘みが広がって、口いっぱいに重厚感のある幸福が、というか笑ってしまっているから溢れ出している。

味噌カツを推しているからソースはどうなんだと思ったら、ソースはソースで味噌カツとは違いカリッとした食感と少し酸味の効いたソースがマッチしている。普段からとんかつはソースで食べているが、比較対象がすぐ隣にあることでより美味しさを感じられる。半々にして正解だった。

時折、味噌だれがしみ込んだキャベツに手を伸ばしながら交互に食べ進めていく。

 

 

ご飯も順調に減っていったが、ここで問題発生。

キャパオーバー。

名古屋に着いてすぐ天むすなんて食べるから、胃のストレージがいっぱいいっぱいになってしまった。スマホみたく不要なファイルを削除して空き容量を確保できたらいいのだが、人間にはその機能は残念ながら備わっていない。

ゆっくりと時間をかけながら、カツを食べ進めていく。途中で全身の穴という穴から味噌だれが噴き出るかと思ったが、何とか身体の中に閉じ込めて幸せな気持ちを一滴も逃さなかった。

 

 

時間はかかったものの無事に完食。「わらじとんかつ定食」と「もつ串」で2500円。フリーターの1食にしては相当根を張るが、この美味体験を出来たのなら安いものである。

店を出て建物の側面を見ると大きな矢場とんのキャラクターマークに、矢場とんのアニメが放映されている大きなモニター。「矢場とんのアニメ」という奇妙な日本語の組み合わせ。招き猫が名古屋弁を喋っていた。後々調べたら三ツ矢雄二だったらしい。豪華すぎる。