書書鹿鹿 ~かくかくしかじか~

"かくかくしかじか"と読みます。見たもの、聞いたもの、感じたことを書いてます。

6月21日の日記(前編)

早朝という名に相応しい5時過ぎに夜行バスで名古屋から東京のバスタ新宿に着く。大阪から近づいてしまったせいで、名古屋からの夜行バスの最終便でもこの時間に着いてしまうのだ。

新宿と言えども平日の朝5時であるため、辺りは閑散としていた。ちらほらと歩いているのは同じく夜行バスから解き放たれてしまった人々や出勤するサラリーマン、朝まで飲んでいたであろう若者に夜勤終わりの人。それぞれの生き方があるなぁと思う。

 

 

これまでシベリア少女鉄道のダブルヘッダーをしていた時は、なるべく遅い時間に東京に着き、ひたすらファミレスやチェーン店で時間を潰す、12時くらいに昼ごはんを食べ昼公演、終演後2時間ほど時間を潰し夜公演と今思えばなぜにこんなハードなスケジュールで観劇を行っていたのかは理解できないが、お金を節約するにはそれが一番だったのだろう。今回もいつも通りいくならマクドナルドでひたすら時間を潰し昼過ぎに劇場へ、という流れだったが、もう4年前のあの頃とは違う。東京には知り合いの家があるのだ。そこで仮眠をとって時間を過ごせば、舞台にも集中できるしそれ以外のスケジュールも快適に過ごせる。東京メトロの1日乗車券を購入し、知り合いの家へと電車で向かう。

乗り込んですぐのドア付近に立って周りを見渡す。街は静かだが、電車には席が埋まるくらいに人が乗っている。対角線上の座席の端に座っている男性に目が行った。外見のいろんな特徴を脳内のデータと照合した結果、よく知っている某芸人さんだった。まさか東京に来てすぐ芸能人に会えるなんて思ってなかったし、ましてや朝の5時の電車で遭遇するなんて思ってもみなかった。髪の毛を整えてこれから仕事なのだろう。しばらくして電車を降りて行った。思わぬ遭遇だった。

 

自分も乗り継ぎながら知り合いの家の最寄り駅にたどり着く。最寄り駅と言っても東京メトロの最寄り駅で、実際は別の路線で2駅あったのだが、持ち前のケチが発動し前日3万歩歩いて痛めた膝をかばいながら歩くことにした。時刻はまだ6時過ぎ。まいばすけっとすら空いていなかった。事前に水を買って行こうとコンビニに寄ってラベルレスの水を買った。レジを担当してくれたのが70ぐらいのおじいちゃん。上部についていたシールにプリントされてあるバーコードを探すのに時間がかかっていたため、場所を教えてあげると「ありがとうね」と高校球児ぐらいの声量で感謝された。見た目と声量のギャップが凄すぎる。

 

 

事前に知り合いに送ってもらった住所までたどり着く。新築オートロックマンションの10階だった。来た人みんなが笑ってしまう超高速エレベーターに乗り、10階の部屋へ。普段9時起きの社会人に3時間前倒しして起きてもらったことを申し訳なく思いながら、ありがたく部屋に入る。お互い眠い状態だったが、会うのも久しぶりなので近況報告をしているとあっという間に1時間半が経ち、8時30分になっていた。

「もうシャワーさえ貸してくれたら1日いけるか!!」

と高を括り、テレビをつけ人の家に泊まった時にしか見ないで勝手にお馴染みにしている『ラヴィット!』を観る。ちょうどそのタイミングでアルコ&ピースの酒井さんが三拍子のツカミを紹介した流れから「ツカミ-1グランプリ」が始まった。10組ほどの芸人が漫才に入る前のツカミだけを披露し競い合うもので、出てくる演者全員が好みのメンツだった。その中に、さっき電車で見かけた某芸人さんも出演していた。「これに出るためだったのか」と点と点が繋がった。その話を事前にしていたので、知り合いから「伏線回収いらんねん」と言われた。

 

 

シャワーを借り、コードが捻じれきったドライヤーで髪を乾かし出てくると、知り合いがリモートワークを始めていた。これがあるべき社会人の姿である。一歩自分はと言えば、仕事している知り合いのベッドに寝転がり気づけば家を出る予定時刻1時間オーバーの11時まで寝てしまっていた。情けない。パッと目が覚めパソコンに向かい仕事をしている姿を見て、2人の間に見えない段差がある気がした。名古屋土産の「ゆかり」を1袋置いていってそそくさと退散。